%コード・イエロー%

頬をぺしぺしと叩かれた感触がして、

私は、うっすらと目を開けた。


全身の毛穴を、針で抉られているような気がする。


「夏夜!しっかりしろ!」


私の名前を呼ぶ、この人は誰だろう?


心配そうに私を見つめるその目は、


確かに、いつか、どこかで見た覚えがある。


「仲地先生!

ストレッチャー持って来ました!」


あ、この声。

Q外(救急外来のこと)ナースの大橋さんだ。

里佳子のお母さん。


どうしてみんな、そんなに大騒ぎしてるんだろう。

患者さんが急変でもしたかな。


薄れゆく意識の中で、私は、つんとする、消毒薬の匂いをかいだ気がした。











< 49 / 481 >

この作品をシェア

pagetop