この世で一番大切なもの
三ヶ月まであと三日。

がむしゃらに女を騙している俺の売り上げは上がっていた。

小計九万。

あと小計一万だ。

金額としては現金二万円ぐらい使わせればクビにはならない。

「リュージ大丈夫そうだな」

みんながそう言った。

だが俺としてはやはり不安だった。

最後まで油断はできない。

案の定、俺は二日間客を呼べなかった。

「大丈夫か?」

みんなが心配する。

「明日は絶対呼べよ」

そう言われた。

だが客予定はなかった。

俺は焦る。

明日客を呼んで二万円使わせなければクビだ。

もう今日はキャッチをしても意味はない。

営業電話に全力をかける。

かたっぱしから女に電話する。

だが、

「お金がないから・・・」

と次から次に断られてしまう。

色カノにも電話をかけるが、

「もう無理だよ・・・」

「やっぱり私、お金なの?」

「いつも店きてっばかり。さよなら!」

などと断られてしまった。

やばい・・・。

もう朝方だ。

今日、売り上げを上げなければクビ。

俺の夢も人生も終わる。

時間はない。

俺は寮のボロボロのかび臭い布団で、悩みに悩んでもがき苦しんだ。

頼れるのはレイヤしかいない。

今日は締め日と言われる月の最終日の営業だ。

売れっ子のレイヤは忙しいだろう。

朝だから寝ているかもしれない。

俺は申し訳ないと思いつつも、レイヤに電話をするしかなかった。









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