レオンの車で、3人で警察署を後にする。
どんよりとした雰囲気が、3人を包んでいた。

「唯はさ、キアリーのどこがいいのさ」

落ち込む唯を見かねたレオンが、唯に話題を振ってきた。

「え?」

突然話を振られて、少し慌てる唯。

「キアリーのこと、どこがそんなにいいのさ」

言われて唯は、少し照れくさそうに言った。

「私の誕生日プレゼントに、お父さんがキアリーのアルバムを買ってくれたの」

へぇ、とキアリーが呟く。

「ホントはね、別の人のCDをお願いしてたんだけど、お父さん、間違えて買ってきちゃって」

当時のことを思い出し、思わずくすっと笑ってしまった。

「最初、私、キアリーのこと全然知らなくって。お願いしたやつでもないし、ましてや聞いたこともない人のアルバムで。お父さんもごめんねって言ってくれてたのに、期待してたぶん、違ったショックが大きくって、ついお父さんに怒り散らして。仲裁に入ったお母さんにも八つ当たりして。そしたらお父さんも切れちゃって」


『お父さんのバカ!楽しみにしてたのに!』

『ごめんな、唯。お父さん、慌ててて、間違えたんや』

『そんなの知らない!あのCDは限定のやつで、どうしても欲しかったのに…すぐに買ってきてよ!』

『唯、いい加減にしなさい』

『うるさい!お母さんはいつもお父さんの味方してばっか。口出ししないでよ!』

『唯!お母さんに向かってその口の利き方はなんや!』

『なによ…!2人ともだいっきらい!』


「口げんかして、そのまま自分の部屋に閉じこもって。で、思わず手に持ってたキアリーのCDを、封を切る前に、思いっきり壁に向かって投げつけたのよね」

唯の言葉を聞いて、キアリーが苦笑する。

「そりゃ酷いな」

「ごめんなさい。あの時はホント…自分の感情がうまくコントロールできないっていうか、なんていうか。すぐにカッとなって、イライラして。よく物を投げてた気がする」

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