夢みる蝶は遊飛する

追憶


翌日、マネージャーになった旨を沙世に伝えると、目を見開いて驚いていた。


「亜美・・・お人好しすぎるって」

「まあ、バスケ好きだからいいかなって」


そんな話をしていると、いつものとおり騒々しい声が割り込んできた。


「なんで亜美ちゃんバスケ部のマネになったの!? サッカー部は? 俺のこと見捨てるのっ」

「ヒロ、朝からテンション高すぎ」


サッカー部にもマネージャーはいないらしい。

そういえばいつだったか、部活を決めていないなら是非にと、手を握って言われたのを思い出した。


「だってだってだってだって! 俺が勧誘したとき亜美ちゃんニコニコしてたから、てっきり勘違いしてた!」

「それはあんたが悪いんでしょ」


騒ぐヒロくんに冷静に対処する沙世の姿を見るのは日常茶飯事だ。

私はこうやって上手く他人をあしらう術を持っていない。


そして、こんな態度をとっても愛想を尽かさないでいてくれるだけの関係を、他人と築いていない。

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