ー親愛―
真実





入社式の前日




久し振りに お気に入りだった場所に向かった




星がキラキラと輝く 月の見えない夜だった



深くため息をついた




あの施設に行くのが憂鬱だった




そんな事を思いながら 何かを吹っ切る為




あんなに綺麗だった白い砂浜には 煙草の吸い殻が無数に落ちていた




せっかくの綺麗な場所を………。




無残に残された 煙草の吸い殻を持っていたコンビニの袋に入れていく




残されていた残骸は全て同じ銘柄の煙草




ふと 多田慎二の顔が頭を遮る







………もう。どうでもイイ………





そう思いながらも 心の中に多田慎二の存在が消せない自分に腹立たしさが募る




波の音と私の足音だけが 寂しく響く




フーッ




煙草の吸い殻を30分程拾うと もとの綺麗な砂浜になる




もう。 ここには来ないだろう…




私は 1度だけ振り返り お気に入りだった場所をあとにした






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