不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
第6節:帰り道
電車に乗ると、意外と空いていて座席に座ることが出来た。
(それにしても・・・男の子はやっぱり変わるんだなぁ~・・・)
そんなことを考えながら、ぼぉ~っと座っていた。
「何で連絡くれなかったんだよ。」
私は、横から急に話かけられ、驚いて横を向くと、そこには、さっき別れたばかりのコウが座っていた。
「な、なんでコウがいるのよ!」
電車の中で思わず叫んでしまった。
周りの人の視線が一瞬集中するが、みんな私の隣のコウに気がつくと、すぐに視線を私から逸らす。
(・・・今のコウを見たら、そりゃ、そうするよね・・・・)
私は、少し昔のかわいかったコウが懐かしくなった。
「当たり前だろ、俺もこの電車で帰るんだから。」
どうやらぼぉ~っとしててコウが乗ってきて隣に座ったことに気づかなかったらしい。
「それよりも、ルミちゃんこそ、あんな奴らにいいように言われて。昔のルミちゃんなら、あんな奴らの5人くらい平気だっただろ!」
(・・・2人きりになったとたん、ルミちゃんって・・・コウ・・・あんた・・・それは、さておき、)
「コウ、あんた馬鹿なの?今の私があんな人達の相手なんかできるわけないでしょ?」
私は、コウの言ってきたことに反論する。
それにしても、6歳の時と今では状況が違うことを理解しないとは。