天空のエトランゼ〜赤の王編〜
「坊や…逃げて…」

浩也をぎゅっと抱き締めると、自らの体をクッションにして、フレアは地面に激突した。

ほとんど直角に落ちた為、森林の間に小さな穴をつくった。

フレアは背中を強打し、動けなくなった。

「お母様!」

「浩也…」

動けなくなっても、フレアは浩也を抱き締めていた。

「終わりだ!終わり!」

カラス天狗の群れが、鎌を振り上げながら、近づいてくる。

「その子を渡せ!」

「その子こそが、魔王復活の鍵!」

「ほおほおほお!」

炎の壁であるムエン達が、体を揺らして楽しそうに笑った。


「早く!渡せ!」

じりじりと近づいてくるカラス天狗達は一応慎重になりながら、巨大な鎌の先をフレアに近付けた。

「その子供を離せ!」

「どうしても、離さないというならば!」

鎌の先が、浩也を抱き締めるフレアの二の腕に突き刺さった。

「その腕!切り落とすだけだ…」




「ああ…」

フレアの胸に顔を埋める格好になっていた浩也の目の前で、鎌が突き刺さった腕から血が流れるのが見えた。

「あああああ!」

その瞬間、浩也は絶叫した。

「お母さまあああ!」


瞳の色が、一瞬で赤になると、浩也の中で…何かが弾けた。

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