「お前…」



明らかに不機嫌そうな顔をするヴェルヌには目もくれず、エルトは笑顔で淡々と話し始めた。



「ヴェルヌ様。彼女はそろそろ仕事の時間です。ヴェルヌ様もご公務がおありでしょう?」



エルトの言葉にヴェルヌはかなわないと思ったのか、ミュリエルから下りると彼女を抱き起こした。



「だそうだ。残念だが続きは今夜にでも」



そう言って真っ赤に染まるミュリエルにキスをしようとするヴェルヌに、エルトは、

「ヴェルヌ様…」

と再びあきれたような声で言うと、さすがにヴェルヌも観念したようにミュリエルの側を離れた。



部屋を出るときに、恥ずかしそうにエルトに会釈をしたミュリエルに、エルトは小さな声で「ありがとう」と囁いた。



部屋へ戻るとラナが満面の笑みでミュリエルを迎えた。



「おかえりなさい」

「ただいま…」



恥ずかしそうに答えるミュリエルに、ラナは思い切り抱きつくと「よかったぁ」と涙をこぼしながら喜んだ。



エミリア達の処分はヴェルヌが決めるらしいが、おそらくはそんなに重い罪にはとわれないだろうと言われ、ミュリエルは少しホッとした。