秘密の★オトナのお勉強①



「桜は精一杯生きていたから」



「…精一杯?」



「どれだけ綺麗な花を咲かせてすぐに散ってしまうとしても、桜は精一杯生きていたでしょ?」




…この冬馬の言葉が、あたしの胸に大きく突き刺さる。




「例え短い時間でも、桜は精一杯生きて輝いていたんだから。だからあゆも、大事にして」



「…何を?」



「…貞永くんと過ごした毎日を、無駄なモノだと思わないで。貞永くんがいたから、今のあゆがいるんだから」




ニッコリと優しく微笑む冬馬に、あたしは心を打たれた。


…光輝との毎日を、あたしは大事に思えばいいんだね?



あたしはこの恋の記憶を、死ぬまで大事な宝物としよう、そう決意した。




.
< 73 / 416 >

この作品をシェア

pagetop