揺れる虹
朝の二人
「おはよ、美羽。」


「おはよう、瞭くん。」


始まった幸せな朝の時間。

今にも雨粒が落ちそうな曇り気味の空。

その下にある笑顔が雲を一掃してしまうくらいに輝いている。


「今日は一段とご機嫌さん?」


いつもの指定席に腰を下ろしながら、笑顔に話しかけた。

その笑顔は真っ直ぐに俺に向けられる。

だから、俺は真っ直ぐに笑顔を返す。


「なんか良いことあった?」


「良いこと?ん〜……なんで?」


「そんな顏してる。」



深く被ったキャップの奥を覗き込む笑顔に自然と笑顔になる。


「良いことねぇ………あ、あった。」


空を見上げ、嬉しそうに笑う。


「晴れるよ。今日。」


晴れるよ。

つられて空を見上げた。


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