不可解な恋愛 【完】
Episode 11
奏音と別れようか、どうしようか。

さんざん悩んで、でも別れることができなかった、本当にどうしようもない、俺。

猫のようにきまぐれに、たまに俺の家にやって来ては

今日あったことを楽しそうに話したり、料理を振る舞ったり、熱っぽく誘ってみたりする彼女に

やっぱり愛を感じてしまって、どうしても「別れ」を切り出すことができなかった。



恋愛なんかよりも、人ひとり殺すほうがよっぽど簡単だ。






「りゅうー頼みがあるんだけどー」


「…久し振りだな、水島」


「なにー?そんな嫌そうな顔すんなよ」


「お前に関わってもロクなことないからな、嫌にもなるよ」






ある日、事務所に顔を出すと、見覚えのある男が小さくソファーに腰掛けていた。

黒髪、眼鏡、でっかい目。似合わないスーツに、黒いノートパソコン。

……水島幸一。

俺の組とは全然別の組織のトップだが、石田さんと繋がっているらしく、昔からよく事務所に出入りしていたのだ。
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