雪に埋もれた境界線
第四章 サロンにて
 候補者達は二階から階段を下り、真っ直ぐ進むと十字路で左側に曲がり、すぐ左にある扉の前まで来た。サロンの扉の反対側は、応接間の扉である。

 会社員の座間は難しい顔をしながら、見取り図を何度も見てはキョロキョロしていた。部屋を間違えないためなのか、余程慎重な性格なのか、どちらかだろう。

 木梨は先頭に立っていたのだが、振り返り一同の顔を見渡す表情は、少し緊張している様子だった。


「ここはサロンですよね。じゃ、扉を開けますよ」


 この扉がサロンの扉で合っているのか、不安だったようである。

 皆が頷くのを確認すると、ゆっくり扉を開けた。

 ギギギっと鈍い音がしてサロンの扉が開くと、木梨はすぐ左側にある部屋の電気のスイッチを付けた。
 
 候補者達の目に真っ先に飛び込んできたのは、真正面の奥にある大きなテレビだった。サロンには十分すぎるほどの存在感をアピールし、応接間と違い、スクリーンではなく大きなテレビであり、壁に埋め込まれているようだ。

 そして室内を見渡すと、やはりこの部屋も薄暗かった。

 庭や応接間、食堂に飾られていた動物らしきオブジェも、やはりこのサロンにも飾られており、この部屋には灰皿や高級そうなお菓子まで、棚に所々置かれていた。

 大きい皮のソファも応接間同様置かれていて、その中の一つのソファに、高田がタバコに火を点けながら一目散に座った。


「こりゃいい。寛げる部屋もたくさんあるってことか。この屋敷が手に入れば云うことねぇな」
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