crystal love
しかし、今日のボスは
なにかと食い下がったなぁ。

いつもは、そんな事がなく、
珍しい光景だった為
ついつい、会話を思い出す。


『ディオナ、駅まで送るよ。』

『平気です
まだ、8時ですし、
すぐそこに、サブウェイは
見えてますからっ。
それに、寄りたいところも
ありますし・・・』

『しかし、女の子の一人歩きは
よくないよ。』

『まだ、女の子に数えていただき
恐縮ですが・・・』


駅まで後少しというところで、
道路脇の車が、クラクションを
鳴らした。

ビクッとして、回想から現実に
引き戻され、そちらに視線を
やった。


「お疲れ。ディオナ。」

「あら。ジェイド・・・
お疲れ様。
あ、今日は、いろいろ
ありがとう。」

窓から顔を覗かせた彼に
礼を述べた。

「いいさ。気にすんな。
個人的にキライなんだ。
ああいうタイプ。

みんなで、クラブに行くけど
気晴らしに、どう?」

珍しい。
気を遣ってくれている様だ。

とにかく、今日の彼は
優しかった。


「ありがとう。でも、遠慮する
やる事があるし。」

障りのない言葉で
断った。

「ふーん。なにかすんの?」




「ああ、作品
しあげなきゃ・・・」

いいかけて、
しまったと思った。


が、

遅かった。






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