%短編:侵された体%
声の主

「病院?」


「そうよ。大きな病院で調べてもらえば、何かわかるかもしれないわ」


学校を休み始めて1週間。

ママが心配するのも無理はない。


けれど、あたしは部屋から出るのが怖かった。

病院にだって、刃物は置いてあるだろう。

ううん、その前に、病院に行く途中で事故に会わされるかもしれない。


大体、あたしの言うことなんて、誰も信じてくれないじゃない。


断ろうと思ったその時、

ふと今まで危険な目に合った時の共通点に思いあたった。


私の体が言う事を聞かなくなるのは、まるで狙いすましたかのように、

決まってあたしが一人のときだ。

そのせいもあって、ママもあたしの言葉を信じてはくれない。


ひょっとして、ママと一緒なら平気?


< 21 / 47 >

この作品をシェア

pagetop