とろけるチョコをあなたに
「料理長に頼んで分けてもらってくればいいだろう」

「いや、しかし、何故コーンスターチなど」

「使うからに決まってるだろうがヨォ! オレが行ってもいいが、その間に下準備やら何やら済ませられるのか? ええ?」

「……できません」

 素直で結構。

「じゃあ行って来い。その間に下準備をしておいてやる」

「はいっ!」

 絵理は片手鍋とゴムベラを装備したまま母屋の方へと駆け足で向かっていった。その間にオレはコーンスターチを敷き詰める型を準備する。

 この型というのは何でもよくて、コーンスターチを敷き詰められるなら何でもいいのだ。

 タルト用の型があったのでそれを使うことにして、次はグラニュー糖、水飴、水の分量をそれぞれ量り、こちらに残っていた片手鍋に投入した。加熱するにはまだ早いのでそのままにしておく。

 ブランデーを量ってボウルに入れ、後の手順で使う器具を全てそろえ、すぐに使えるように並べた。
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