ほっとちょこれーと *【完】

next to


「いないのかな…」




颯斗と2人で笑ちゃんの家の前にいる。

1年生の時に1回だけ来たことがあったんだけど、たしか一人暮らししてたと思う。




「しょうがねぇよ 出直そうぜ」



しばらく呼び鈴を押した後、諦めな気味に颯斗が言う。


笑ちゃん……
大丈夫かな?




「あたしはもう少し、待ってようかな」

「え?」

「待ってる」




そう言い張るあたしに颯斗は困ったような顔をしながら言った。



「仕方ねーやつ」

「……。」

「ここで待つのも近所迷惑だし、そこの公園で時間潰そう。1時間くらいしたらもう1回来ようぜ」



あたしの頭をポンと撫でた。



「一緒に待ってくれるの?」

「当たり前」



ニッと笑うとあたしの前をスタスタ歩いてく。





「テスト近いな」

「うん」

「次は那岐と篠山 戻って来れるといいな」

「そうだね」

「サッカー部のやつら…誰も追試にならないといいけど」

「ふふっ」





颯斗の言葉を聞きながら思わず笑ってしまった。





「なんだよ」

「人の世話ばっかりだなぁ~って思って」

「……。」

「優しい~」



< 180 / 300 >

この作品をシェア

pagetop