魔念村殺人事件
第七話 わらべ唄その一
 ドンドンドンドンという玄関の扉を叩く音で目が覚め、陸と春樹は顔を見合わせると、薄っすら明るくなっている部屋から玄関に向かった。

 春樹は片方の手で目を擦りながら片方の手で玄関を開けると、そこには章吾と鈴音、そして瑞穂と正信が雨の中立っていた。雨はまだ止んでいないようである。


「何だよ皆して、まだ雨降っているみたいだから、とにかく入れよ」


 春樹がそう云うと、章吾は黒縁眼鏡に付いた水滴を手で拭きながら驚くべきことを云った。


「それどころじゃないんだ。真優がいなくなった……」


 俺達は驚愕し、慌てて訊いた。


「え? いなくなったって、いつですか?」


 すると、黒田家でのことを瑞穂が話し始めた。


「朝、目が覚めると真優がどこにも見あたらなくて、正信と探したんだけれども家にはいなくて。だから、もしかしたら章吾達の家か春樹の家かと思って来たの。でもいないみたいね、ここにも」


 瑞穂はがっくりと肩を落とした。

 そんな瑞穂や章吾達に視線を向け、陸は少し大きめの声で訊いた。
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