修学旅行★幼なじみと甘いキス
「あの…、先生、
頼まれてたテントの組み立て、終わりました」

「あら、ほんとに?
ありがとう!
最初は時間通りにちゃんと進むのか心配だったけど
この調子なら予定よりも早く、全体の準備も終わりそうで、助かるわ」


そう言って、先生のホッとしたような明るいカラッとした笑顔に対し、
わたしはどこかぎこちない笑みで返しながら


ふと視線は、すぐ側でキャンプファイヤーの火床に使うための

なにやら重そうな薪(たきぎ)や、マキなどの木材を肩にかつぎあげては

指定された位置へ、運んでは積む動作を何回も繰りかえしている翔の姿を、チラリ…と目で追っていた。



「おい広瀬ー、こっちも頼むー」

「……はい」


それでも人手は足りていないのか

次から次へと手を貸してくれと呼んでくる先生たちの声に、

相変わらずダルそうで、やる気のない返事をしながら

それでも中学のときとは違い、みずから準備を着々と手伝っている様子。


おかげで、ここにいるわたしの視線には全く気がついていないのか

それともほんとうは気づいてて、わざと見ないふりをしているのか


やたら、めんどくさそうに返事をしたかと思うと、
あっさりと向こうの方へと歩いて行ってしまった翔に、

わたしは思わず自分の両手をギュッと握りしめた。
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