修学旅行★幼なじみと甘いキス

◇隠した優しさ


「わぁ~!」



――翌朝、眠たい目をこすりながらも、いそいそと着替えを終えたわたしたちは
朝食のため、ホテル内にあるレストランへと集まっていた。



「ただいま出来立てあがりましたー!」

「ご賞味くださーい」



オシャレで高級感のある広いダイニングルームには、既にたくさんの同じ北高生たちの姿であふれ


朝食は自分の好きなメニューをいくらでもよそって食べられるというバイキング形式となっており

次々と新しい料理が運ばれてくるテーブルの上には、いくつものおいしそうな洋食や日本食、中華、デザートまでもがズラリと並べられている。



「このパスタおいしそ~!あっ、ケーキもある!」

「デザートは最後にしときなよ…」



なかば呆れがちの詩織ちゃんからの助言もおかまいなしに

さっきからヒョイヒョイっと何種類ものケーキを勢いよくお皿へとかっさらっていくあさみちゃんの隣で

わたしは一人、どこか落ち着かない様子でソワソワと辺りを見回していた。



「……」



ガヤガヤ



「修学旅行の朝にビュッフェとか超ぜいたくじゃね?」

「めっちゃテンションあがるよね!」

「お腹すかして来といて良かった~♪」




(……いない)



もしかして今頃、三浦さんと話してるのかも……





“明日、出発前に三浦と直接会ってこのこと全部ちゃんと話す”




何度あたりをくまなく気にしてみても

近くのテーブルでワヤワヤと食事する2班のメンバーの中に、翔と三浦さんらしき姿は見つからず



「…えっ!?加奈子もういいの?」

「うん、ごめん!ちょっとわたし先部屋戻ってるね!」



居ても立ってもいられなくなったわたしは

とっさにガタン!と席から立ち上がると、駆け出していた。
< 422 / 473 >

この作品をシェア

pagetop