雪情
【誘惑ー2】


「小川よ。
そんなことより
ワシらにはもっと
重要な事があるだろう?」



荻原のその言葉に
やっと小川は反応する



「…そうだったな。

雪男を探す為に
来てるんだった」



「私、そろそろ現れそうな
予感するわ」



「でもまだ手がかり
ナシですよ、
どうします?」



「ワシら狩人ってのは
辛抱強くなければ
ならんからな。

このくらいで弱音を
吐くわけにもいかん」



「今まで俺らは
大して凄い吹雪に
出くわしたことが
なかったが…

ほら外見てみろよ」



小川はそう言いながら
窓を指した。



外は今までにないくらい
強く吹雪いている。



「このくらい
強い吹雪じゃないと
出ないと俺は思う」



「にしても
ホント強いですね。

刑事さん達
大丈夫ですかね」


「確かにトイレにしては
長いのお」


「ほっとけ、
迷う距離でもないし。

俺らの知ったこと
じゃない」


と小川は気にもせずに
言う。



続けて

「今は体を少し休めて、
必ず雪男を捕まえてやる

警察でさえ
見つけられなかった
犯罪者を捕まえたら、
一躍ヒーローだぜ」



皆もそれぞれ、
いち早く捕まえることを
思っているのか、

その意見に賛成した。


そして、
しばらくすると
田崎達が戻ってきた。


田崎は雪を払いながら言う。


「外は凄い雪だ、
早く吹雪が止むといいね」


「俺らは
そうは思わないがな」


と小川が答える。


田崎達は雪が止んで
ほしいと思っているが、

小川達は違った。


吹雪いてもらわないと、
雪男が出ないからである


「やれやれ…
まだ雪男を狙って
いるのかね?

外も暗いし、
危険だから
ほどほどにしたまえ」


雪山に来ると、
今何時かというのが
分からなくなる。


外も暗いし
疲れもあるので、
当然眠気が襲ってくる。


「そろそろ寝ますか」


と言ったのは
大久保である
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