ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├お姫様の覚悟

***********
 


「急いで一体何処へ行く、


……如月?」



やや癖のあるダークブラウンの髪。

理知的な雰囲気漂う、涼しげに整った顔。


突如現われたのは――




「!!!!」




ええと…



誰だっけ?




今の今まで、まるで忘れていたその存在感。

現われても尚も正体判らぬその存在。


見た顔のような気がする。

知った顔のような気がする。


何処で見たっけ?

誰だっけ?



ん~~……。



「御階堂だ、馬鹿者」



目の前の、やけに偉そうな男は言い捨てた。


ミカイドウミカイドウ…。


んんん~~……。



「芹霞、桐夏の、ほら…あの会長」



煌が見かねて教えてくれた。

哀れんだような眼差しで。


ああ、そんな人、居たね!!!



記憶力のなさに定評のあるワンコに教えて貰うとは、神崎芹霞…無念。


そうだ、"多分"そんな名前の生徒会長が、目の前に居た。


桐夏の制服ではなく、神父のような黒い詰め襟の丈の長い服を着ている。


闇の住人(キャラ)限定のコスプレでもしているのか?

彼はそういう服が意外と似合うのかもしれない。


「お前は…いつになったら僕を覚えるんだ?」

「次に期待して下さい」

「……ちっ」


先に、その…刺々しい舌打ちを聞いていたら、何となく判ったかもしれない。


だけど自信ないや。



< 331 / 974 >

この作品をシェア

pagetop