妄想ハニー


あたしには、わからない。


本来の自分を見せることが、本当に恋に直結するかなんて…。



そりゃあ、あたしじゃない自分を演じつづけたり、

相手を気遣いすぎても疲れちゃうけどさ。



『…どーだか。』



2人にバレないように、小さく呟く。


あたしの視線の先では、ママが「子供の前で変なこと言わないでよ!」なんて、パパに悪態をついていた。




――ありのままの自分を見せることができたら、

それが本当の恋の始まり。



その言葉が妙にあたしの鼓膜を震わせ、あたしは小さく息をついたのだった。










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