年上の彼氏
疑心


「・・・ん・・・」

重い目を開けると、もう朝になっていた。

「あれ?」

隣にいるはずの矢崎さんがいない。

「ん〜・・・」

布団の中で背伸びをして、ゆっくりと起き上がる。

「・・・いいにおい」

隣の部屋から、コーヒーとパンの焼けた匂いがして・・・グ〜とお腹がなる。

・・・矢崎さんがいなくて良かった。

こんな音聞かれたら恥ずかしすぎる。


そっと部屋のドアを開けると・・・

「お、柊子おはよう」

キッチンに2人の男の姿。


絵になってるのが悔しいくらい。

「お、おはよ」

「顔洗ってきたら、朝食にしよう」

笑顔で言ってくれる矢崎さんに、朝からクラクラしながら洗面に向かう。


しかし・・・私って・・・3人いるのに一番起きるのが遅いって。

自分のダメッっぷりに軽く凹む。


顔を洗って、歯を磨いてリビングに戻ると、テーブルには3人分の朝食が用意されていた。

「すご〜い」

驚く私に得意げになったのは・・・ライ君。

「だろ?俺が作ったの」

「自慢するような朝食じゃねーと思うけどな」

「うるせー。そんな事いうなら秋仁は朝飯抜き」

「いやいや、・・・じゃ、雷太コーヒー抜きな」

「・・・いやいや」

「いやいや」

「だから、いやいや」

「こっちが、いやいや」

・・・一体何の会話だろうか・・・。










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