恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
ふたりきりの部室


―ふたりきりの部室―




一緒に走った。



テニス部の汚い部室の中へ避難した私と鉄平は、荒くなった息を整えた。




「しばらくはここで雨宿りだなぁ・・・・・・」



鉄平は、部室のドアを閉めると、フーっと息を吐く。





ドキドキ。

密室だし。


ふたりきりだし。







「鉄平、タオル使う?」



私は予備に持っていたタオルを鉄平に渡した。




「いいのか?お前のは?」


「もう一枚あるから」





濡れた髪もかっこよくて。



この密室の中にふたりきりだってことがまだ信じられなくてドキドキする。




「びっくりしたなぁ。急に降り出すから」



「そ、そうですね」



「な~に、緊張してんだ?」



「き、緊張なんてしてません!!」





濡れた髪をタオルで乾かしながら、下をむく。



タオルの間から鉄平の様子をうかがう。







「ひっ!」




目が合った。








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