ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
2 偽物彼氏と学園祭


‐2‐




翌日。

学校休めば良かった……と、教室に入った瞬間に思った。


「結城さん!! 結城さんって、犬飼くんと付き合ってるの?」


ファミレスで犬飼くんと一緒に居た女の子たちじゃない、別の女の子たちが群がってきた……。

犬飼くんはまだ来ていないから、みんな堂々と聞いてくる。


「えっと、付き合ってないよ」

「でも昨日、すっごく仲良さそうだったじゃん?」

「そ、そんなことないよっ……」


もー……次から次へと、同じ質問ばっかり……。

おまけにみんな同時に話しかけてくるから、うるさいし、訳がわからない。


……そんな私のところにやって来たのは、意外な人物だった。


「結城さん」


女の子たちが騒ぐ空間に響く、村雨くんの透き通った声。
全員の言葉がピタッと止まり、全員の視線がそっちに移る。


「……あの、少し二人で話しませんか?」

「あっ、うん、わかった!!」


女の子たちの視線に、村雨くんの顔は強張っているけれど、でも、村雨くんが来てくれたおかげで助かった!!

そのまま私はなんとか教室を抜け出して、村雨くんと二人で、廊下の端へとやって来た。


「助かったぁ……ありがとう」


犬飼くんも青山も来ていなかったから、本当に助かった。


「困ってるんじゃないかと思って来たら、本当に大変そうだったね……。
渉たち、もう少ししたら来ると思う」


教室のドアからこっちを伺ってる女の子たちを見ながら、言葉を続ける村雨くん。


「渉がこれから言うことを、受け止めてあげて欲しい」

「え?」


……これから、言うこと?


「村雨くん、それって……」


どういう意味? と聞こうとした時、廊下の向こう側から一直線に向かってくる青山が見えた。


「結城!!」


朝から、声がデカイ……。

その隣には犬飼くんが居たけれど、青山とは違ってそのまま教室に入っていった。

ズンズンと近づいてくる青山。
すぐ目の前まで来て、私の手を握る。


「やっぱり俺と付き合え」

「はい……?」


な、なんなのこれ……青山、おかしくなっちゃった?
元々少し変わってる奴だけど。

でも、なんで急に「付き合え」なんて……。


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