青い傘
青い傘


下校時刻が過ぎた学校

天気は雨。そしてわたしは傘を持ってきていない、居残り勉強をしていた馬鹿な一般女子生徒です…


「どうしよ、ブレザー被って走ろうかなぁ…」


なんてポツリと言葉を漏らしてブレザーに手をかけたら


「傘ないの?」


という声を聞いて相手はすぐわかった。
こんなときに最悪だ、だって隣に立つ彼は、
わたしの好きな人だから

傘も持ってない、馬鹿な女って思われちゃう…


「えと、……はい」

「じゃあ、これ使って」


青い傘をわたしに差しのばす彼

でも、傘は一つ。
わたしが借りてしまったら、彼は雨の中そのまま帰ることになっちゃうんだよね

そんなの、ムリ!


「大丈夫です!」


好きな人に濡れて帰ってほしくないもん!
そんなの女子として当たり前でしょ。
好きな人には当たり前でしょ。
てゆうか、
普通はそうでしょ?
好きな人以外にもそうでしょ!?

なのに


「いいから」


そういって、青い傘をわたしの手に握らせた。

っててててててて手!手が当たった!握った!
どうしよう、手が洗えないでしょう!洗うけども

このままじゃ濡れて帰っちゃう。
でも傘は返せないし、…あっ


「…あっあの!一緒に帰りましょう?!」


ってわたし、図々し過ぎる!借りたのは私なのにね…嫌われちゃうよ。
なにこの女。とか思われちゃうよー??

でも、彼の顔は予想外に笑顔で


「ありがとう」


なんて優しい言葉

お礼を言わなきゃいけないのはわたしなのに
なんだか照れてしまう、ドキュンって鳴り過ぎて胸が壊れてしまいそう。


「よっよろしくお願いします!!」

「ははっ。よろしくね」


そういって、わたしに渡していた傘をとって
青い傘を開いた彼は、入っておいで。って言っているように、傘を傾けた

火照った頬を軽くペチンと叩いて気持ちを落ち着けた私は


「わたしもありがとう!」


とびっきりの笑顔で、
青い傘の中に入った。



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