あひるの仔に天使の羽根を

・探索

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神崎芹霞、初めて超能力というものを使えました!!


言うのは易く、使うは難しく。


……もし二度目があるなら。

あたし1人だけでは絶対使うことは出来ません!!



よくもまあ、あたしの身近な男達は…個々の扱える種こそ違え…平然とした顔で簡単に使っていたもので。


彼らがそんなことが出来ると知ったのは2ヶ月前。


それより前から親睦を深めていたはずなのに、あたしは彼らが"特殊"側に居るとは露にも思わず、逆に何で早く教えてくれなかったのかとむっとする。


あたしを度外視出来るくらい、彼らの間には既成の連携がとれていて。


櫂を護りたいという消えぬ想いを皆に訴えていたはずだったのに、実際あたしはそこに行き着くことも出来ないくらい離れた場所に居たんだと認識した。


紫堂の血を引かない煌や桜ちゃんだって、守護石を武器という物質に変幻させられる超能力が持てるのなら、あたしだって可能かも知れない。


あたしだって皆と同じく櫂を守れるかもしれない。


そう思い、入院中に守護石に"してしまった"金緑石。


玲くんからの高価な贈り物は、やはりあたしがどうしてみてもただの石で。


一緒に飾っている櫂の守護石は、真の持ち主に反応して力を分けてくれたけれど、結局あたしがどうこうしたものではなく、櫂に護られているだけだった。


煌は――


短気で単純馬鹿で脳内ピンク色の性少年で、緋狭姉にいつも怒られてばかりいるし、偃月刀なんて物騒なものを振り回す割には、ジャガイモの皮さえ包丁で剥けない不器用な奴だけど。


更に不気味なトコであたしに告るわ、突然緋狭姉の幻覚を見て青ざめた顔で叫び出すわ、突拍子もないことをやらかしてくれる飽きない奴だけど。


煌だって紫堂の…櫂の力を使ったことはないだろうに、吐くぐらい身体に負担がかかるようなことを、素人のあたしには無衝撃にて誘導したのは凄いと思う。


告る時にはあんなに時間がかかったくせに、こういうことはすんなり出来るなんて、普通は逆じゃないかと思うけれど。


やっぱり煌は、自分が凄い奴だってことに気づいていない。
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