あひるの仔に天使の羽根を

・決心 玲Side

 玲Side
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「ねえ芹霞……


本当に付き合おうか」



僕の声が震えた。


だけど、僕の腕の中にいる芹霞は、微動だにしなくて。



「芹霞……?」


不安になった僕は、芹霞の顔を覗き込んでみる。


同意して欲しいと、一縷の希望を抱きながら。


「玲くん…もうお芝居しなくていいから。あれだけ派手にやれば、須臾も櫂も信じたでしょう。もういいよ、それからありがとうね。こんなあたしにそこまで言わせてしまって、本当申し訳ない」


芹霞はそう哀しげに笑っていて。



芝居――。


君は、それしか感じなかったの?

僕の本気を感じられなかったの?


ねえ――…

僕は演技であんなことしないよ?



冗談半分に、櫂の前で、

君の唇を奪ったりしない!!!


確かに、契機は芹霞の愛の告白。


その真偽を見抜けない僕じゃない。


あれは十分芹霞の強がりで……僕に向けられたのは、たまたま僕がそこにいたからで、櫂に僕とのことを言われたからで、本気のものではないことくらい、僕にはちゃんと判っている。


だけど――

櫂は超えてはならない境界線(ボーダーライン)を超えたんだ。



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