“いぢわる王子”のお気に入り♪【完】
やっぱりヤツは“いぢわる王子”
山本くんの足音が、完全に聞こえなくなった図書室前の廊下で。
「へぇ、初耳」
からかうような響きを含んだ低い声が耳元に落ちる。
「知らなかったな。
おまえの名前。
男では、オレしか呼んじゃいけなかったのか?」
そんなことをあたしの耳元で低く小さく問いかけ、いぢわる王子はあたしから体をスッと引き、壁に寄りかかって顔を斜めに傾けた。
「み・ど・り・か・わ・さん?」