カチャリ。

部屋のドアが開いて彼女が戻って来た。

俺はテーブルの上に置いてあった詩集に目を通していたが、ふと顔を上げて彼女を見た。

うわ……、やばい。

つい、さっきまでも十分、暴走して来たが、人間の欲望とは限りがないらしい。

一度叶えるとさらに欲しくなる。

運命とは揺れる波の様に押し寄せたり引いたり、明日には何が起きるか分からないものだ、と実感する。

俺と彼女もたとえ目の前ですれ違っても挨拶さえ交わさない、そんな二人だった。

それが、彼女と同じ髪の香りを漂わせて二人は今、ここにいる。



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