これは、事実
できること
次の日になっても、電気は復旧しなかった。
まだ余震が続く中、家族みんなでラジオの周りに集まる。
聞いてるとき、被害が酷いほうの人たちの声が流れた。
『……津波が押し寄せてきて、私以外の全員を流していったんです…』
「……!」
そんな…。
『あっという間に流されていって…助けられませんでした…』
目の前で人が流されたのに、何も出来ないなんて…。
そんな辛いことって……。
次のインタビューにかわる。
『沿岸のほうに居る親戚と連絡がとれなくて…心配です…』
「………」
そうか…。
電話もメールも繋がらないから…。
和子…。
「大丈夫なの…?」
私は今はほぼ無意味の自分のケータイを握りしめた。
なんて…無力なんだろう。
私にも何かできることがあればいいのに…。
私には何もできないの…?

そんな中。
「え?」
握りしめていたケータイが突然震え出す。
「遥!!」
「…あ…」
緊急地震速報…!
「外に避難!行くよ」
「う、うん」
慌てて外に出る。
すると、大地が揺れた。
「結構大きい…」
「こういうこともあるんだからちゃんとケータイ持ち歩いてよ?」
「わ、わかった」
揺れはすぐにおさまり、私たちは家の中に再び戻る。
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