モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
駄目元で冬樹は海の携帯に電話をかける。
「・・・。」
前にかけたときは電源が入っていなかった。
きっと今回も無理だろう。
そう思っていた。
しかし、
♪~、♪~
繋がった。
自然と冬樹の携帯を握る手が汗ばむ。
ピ、
『もしもし?』
「え、」
声の主は海ではない。
知らない男の声だ。
驚き、言葉を失う。携帯番号は間違えていない。
なら、どうして。
『イタズラか?こっちは忙しいんだ。双子姉に用があんなら後でにしろ。』
「ちょっと、待ってください。あなた、誰なんですか。」
奮える声でそう問えば、電話の向こうの男は んー、 と考え、
そして言った。
『上司。』
「は?意味わかりませんよ。海ちゃんと遥はどこにいるんですか、」
居場所を教えてください、と続けた。
すると男はあっさりと居場所を口にする。
「・・・陽太湖(ひなたこ)?」
『そ。じゃあ、もういいか?』
「ちょっと、ま『沢田さん!なんで私の携帯勝手にっ、』
「海ちゃん!?」
突然聞こえた海の声。
冬樹は彼女の名前を呼ぶが、返答なく通話はプツンと切れた。
もう一度かけなおしたが、電源を切ったらしくかからない。
「っ・・・。」
けど、居場所はわかった。
冬樹は健二と理子に告げるために、急いで集合場所へと向かった。