桜から君が降ってきた。
“優ちゃん”の意地






「ただいま~。優、いい子にしてたかぁ~?」



パパが陽気な様子で帰ってきた。


僕は、早速出された宿題の算数のプリントから顔を上げて「おかえり。」と言った。



「おう、もう宿題出されたんだなぁ。さすが私立ってやつかぁ~。」


パパは快活に笑って、僕の頭をわしゃわしゃとかき混ぜるように撫でると、上着と鞄をソファに置いて、僕の前にどかっと腰掛けた。



「どうだ?新しい学校は。楽しいか?」



僕は鉛筆をテーブルに置いてから、答えた。



「うん。すごく、…楽しかった。」



微妙に『楽しかった』を詰まらせたのは、木登りのことを思い出したからだ。




「みんな良い人たちで、昼休みもみんなで僕に学校の案内をしてくれて…」




とびっきり魅力的な女の子がいて、



一目惚れ…して、




落胆させて。






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