引っ込み思案な恋心。-2nd





確かに『ちゃんと話す』って言われた。





だけど結局、拓から話し掛けてもらえてない。





私からは……、もう怖くて3組の教室にすら行けない状態だった。










「ねえ、倉本!本当に瀬川と松沢さんのこと、知らないわけ?」






一瞬シーンとなった教室で一番に声を上げたのは、やはりあゆだった。






まだ携帯をいじっていた倉本くんは、チラリとあゆの方を見た後、また携帯の方に目を向けた。






「だから知るかよ。なるようにしかならねーだろ。拓が話したくないから勉強会参加しないって言ってんだし」



「…一応聞くけどさ、倉本は勉強会参加するの?」



「……え?」






そこで携帯をいじる手を止めた倉本くんは、私達の方に顔を向けた。






「だって、瀬川がいないなら女子だらけになるし、漫画も読めないじゃん?」



「はははっ!あゆ、それじゃー倉本がまるで漫画読むために勉強会に来てるみたいじゃん」






あかねちゃんはあゆの発言に笑っていたけど、当のあゆはまだ真剣な目をしていた。






「いや…、あんた、最初は瀬川に誘われたからうちらの中に入ってくれたんでしょ?今、瀬川はいなくなっちゃったけど……、どうなの?そこんトコ、ハッキリ聞かせてよ」



「ああ……」





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