LOVE SONG
その日の6時半。

中里はレストランの窓際の席に座っていた。

しばらくするとスーツ姿の男が入って来て、中里の向かい座った。

「何かいいことあったみたいだな」

ニコニコしている中里を見てそう言ったのは、中里が春木の事務所に入る前まで勤めていた会社の1コ上の先輩の不破公雄(フワ キミオ)。

中里の『カレシ』だ。

「わかる?実はね、驚かないでよ。不破さん、『CityNoize』って知ってる?」

「ああ。あのバンドの?」

「そう。でね、あたしその『CityNoize』の今度のアルバムの作詞、一人でやる事になったのっ」

「…」

「驚いた?」

言葉を無くしている不破を中里は満面の笑みで見つめた。

「…あ、ああ」
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