同窓会
その姿を見た時、心の準備をしていたはずなのに、ドキリと胸が高鳴って、苦しくなった。

「大石じゃん!」

「「ナイスタイミング!」」

みんなが、まるで大石くんに乾杯するかのようにグラスを掲げる。

「良かったー!途中参加なんて寂しいことならなくて。」

人懐っこい笑顔は3年経った今でも変わっていなくて、私の目はくぎ付けになっていた。

「…はい。これ取りあえず大石の。で、席はあそこが空いてるから。」

ゆかちゃんが生ビールの入ったジョッキを手渡し、空いている席を指差した。

って、空いてるのって私の目の前の席…。

「はいはーい。」

楽しそうに歩く大石くんを見ていると、目が合った。

「…片桐?」

私と目が合った瞬間、笑顔だった大石くんの瞳が少し揺れた気がした。

「うん。」

私は小さく頷き返した。

「じゃ、3-5の再会にかんぱーい!!」

ゆかちゃんの声がお店中に響いた。
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