秘密のMelo♪y⑤*NY編*
残る疑問と真裕の記憶
――シュンサイド――
花梨が、真裕の記憶喪失に気付いてから三日。
親父さんの話によれば、今日明日にでも検査が行われるそうだ。
本人も混乱している。
夢と…現実の狭間。
それが分からなくなっている。
『…それにあれは、失う恐怖をまた味わっているように思う』
これは、昨日親父さんが言っていた言葉。
失う…というのはもちろん楓のことなわけで。
その夢を見ることによって、真裕は楓を失う恐怖を今もまた感じ続けている…と。
そういうことだ。
『シュン、ほんっとーにこれじゃなくていいの?』
『だからそれじゃダメだって言ってんだろうが。おめェらはなんでそうガキ扱いなんだ』
はたと現実に引き戻された俺は、なぜか念を押すように言うリジュに呆れてそう返した。
今はまたデパートにいるわけだが、こいつの持っているものがまた…。
『だって果物はもうカリン達が持ってってるでしょ? お花は絶対いらないってまた言うかもしれないでしょ? そしたら…』
『だからってなんでわんころのおもちゃだコラ』
ったく…。
親父さんが本物連れてくるって言ってただろうに、わざわざそんなもの…。
『つなぎよつ・な・ぎ!』
胸を張って言うハディだったが、てんで説得力がない。
こんなつなぎなら、ない方がマシくらいなもんだ。
『とにかくそりゃいらねェよ。つかもういいから、とりあえず行ってやれよ。そばにいるだけで違うみたいだぜ?』
『そりゃそうだけど…』
不満そうなメイリー達を連れ、足早にデパートを去る。
名残惜しそうにちらちら振り返る姿が妙に笑えた。