御曹司の溺愛エスコート
「桜は……?」

「中等症の低体温だ。昏睡状態。少しずつ体温を上げている」

総司郎は早口で説明し、桜の治療に専念した。


気の抜けない一夜が過ぎようとした頃、桜の体温が安定した。


「……もう大丈夫だ」


総司郎の肩から力が抜ける。


「ああ」


蒼真も安堵の表情を浮かべた。


その場にいた看護師たちは緊迫した空気から解放された。


病室に移された桜は起きることなくこんこんと眠っていた。


翌日、和樹が病室を訪れたが面会謝絶の札を見て茫然となった。
ちょうど真琴が病室から出てきた。


「貴方は美容室の……」

「桜さんは酷いんですか?」


面会謝絶だとは思ってもみなかった和樹だ。


「……秋月医師のところへご案内いたします」


蒼真の執務室へ真琴は案内した。


簡単な挨拶を交わした蒼真は昨晩の説明をした。


桜が死にかけた事を聞いて和樹はショックを受けた。


「もう大丈夫なんですね?」

「命は取りとめたが、後遺症が残っているかもしれない」


桜を死に至らしめるまで追い詰めた琴美を責めたい。


「昨日何があったのか教えて欲しい」


和樹は昨日の事を話した。


「もう分っていると思いますが琴美は私の妹です」

「はい。苗字が一緒なので……」

「琴美が桜をなんと言って傷つけたのか教えてください」


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