天使のキス。
がばんをよいしょっと持ち上げたつもりが、結構軽い。


あれ?


かばんを見ると、もう一本の手。


「愛里、おはよう…」


「悠♪」


「オレに挨拶もなしに出かけるつもり?」


音もなく開いたドアから悠がひょこっと姿を現した。


「だって…。
まだ寝てると思ったんだもん…」


「早い時間から寝たからね。
睡眠ばっちり。
あーあ。
昨日は寝ないつもりだったのに。
つーか、愛里も寝かさないつもりだったのに…」


口を尖らせて横を向く悠。


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