My best friend



──温かくて、たくましい彼の腕の中に、あたしはいた。



「何かあったんだろ?俺に話せないこと?」


ダメだよ、優しい言葉をかけないで。
また、甘えてしまいたくなる。


「俺、伊沢の一番の理解者でいたいんだ。だから、何でも言ってほしい。俺じゃ頼りないか?」


あたしは必死で首を横に振った。


「……言ったら、高村くんがつらくなっちゃうかもしれないよ」


「そんなの平気だって。つか、俺は伊沢が、そうやってひとりで苦しんでるのを見てることしかできないほうがつらい」


優しく笑って、高村くんはさらにあたしをぎゅっと抱きしめた。


なんてこの人は優しいんだろう。


こんなにも想ってくれてるのに、気持ちに応えられない自分に腹が立つ。


しかも……また高村くんを傷つけた。



「……っあたし、高村くんを好きになればよかったぁ……!」



さっきのことを、すべて話した。


涙が、洪水のように次から次へと溢れて止まらなかった──。



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