法螺吹きテラー
4.嫉妬する絵画


「ねえ佐野君、キスしよう」


「……はい?」


変わり者、だけど美人。

つまりは残念な美女。


そんな風に言われている神花先輩が、
部活後の俺を呼び出し、そう言った。



「駄目ですよ、佐野君の唇は渡しません」

そう言って俺の背後に立っていた先輩が、
俺の口に手を当て、ガードしている。


理由?

神花先輩の顔がやたら近いせいだ。



もしも彼女が普通の美人だったなら。


それなら俺は、喜んで差し出そう。


だけど神花先輩は、
誰も居ない旧校舎の体育倉庫の
跳び箱の中に潜んでいるような人だ。


絶対に、何か裏がある。



そして安藤先輩。


この人は何故、付いて来てるんだろう。


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