クイーンofバンパイア~始まりのフルムーン~
赤い月
ダンスホールに赤い大輪の花が見えた。





「レッドムーン…。踊って頂けますか?」





顔を隠しながら軽く受け流す。
クイーン候補。
赤い月の王冠を戴く異名を持つ。





彼女が愛するものはロベルトのみ。





彼女が許す唯一の友…。バンパイアはブルームーン。





反射の力を持ちながら、赤い月が餌食とするのは…。若いバンパイア。





「アンばっかりずるいですわ…。」





城に束縛されるクイーン候補。一人いないだけで大騒ぎ。





だから私が待っててあげる。ましな匂いのバンパイアに微笑み。





誘いを受ける。





赤い宝冠を戴く彼女はダンスホールに大輪のごとく咲き誇る。





彼女は異名があるバンパイア。





ダンスホールは畏怖と華やかさに包まれる。





吸われたバンパイアの能力を吸い込んでしまうのだから…。






美しく誇り高いクイーン候補。






ゴクリ…。





血が滴る。





「レッドムーン…。」





バンパイアを酔わすバンパイア。





「ご馳走様。まあまあね…。クスクスクスクス…。」





彼女の暇つぶしは終わらない。





誰もがその酔いに翻弄される。
死と常に隣り合わせの快楽に微睡んでいく。





今夜の魔界の月は気のせいか仄かに赤いよう。





赤い月は何を意味するのか。





クイーン候補、レディ·ポルシェ。





本当の顔を隠しながらダンスホールで戯れる。





心はいつもここにない。




策士の彼女が許すのは灰の執事のみ。





ダンスホールに集まるバンパイアは彼女にとってはただのアフタヌーンティー…。





クスクスクスクス…。





赤い月は戯れる。





愛しい灰の執事と青い月を待ちわび踊る。





影から覗く人影に気がつかないふりをしながら踊り回る。





まぁ…。なんてわかりやすい。暴君の香り…。
それに殺気てやつですの?





クスクスクスクス…。





戯れる赤い月を見る暴君は忌々しそうに去っていく。





ブルームーンが城から忽然と消えた…。
だから余計に不機嫌極まりない。





わかりやすい方ですこと…。
ロベルトがいたら何したかわかりませんわね。






回り回る赤い月…。










< 9 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop