極上!ブラックコーヒー
春夏秋冬



「お待ちどうさま」

「わ─い!春兄の特製カフェオレだぁ〜っ!いただきます〜!!」

大好きな味。
ブラックコーヒーは苦くて渋いから嫌い。
これは私だけのとっておきなんだ。



「昔から変わらないよな、その夏木のおいしそうに飲む姿」

「……そ、そうかな」

ちょっとだけ照れてみせる。

いや、ってか……春兄の視線をすごく感じるんですけど……

「あ〜っ!!そうだ!!」

「どうしたの?」

ダメだ、私にはこの空気が耐えられない。

「あ、その……今日はあいつの姿が見えないな〜と思って」

「秋人なら朝出かけて行ったよ。日曜日に出かけるなんて、『デート』かな」

「そ、そうなんだ」

まぁ、私には関係ないけどっ。だって、私の好きなのは……



「夏木、まだ言ってなかったよな」

「?」

「俺、来月結婚することになったから」





「け、け、けっこんっ──!!!!!」



っというわけで、
私の『初恋』は無惨にも砕け散ったのであった……
< 1 / 14 >

この作品をシェア

pagetop