君を探して
エントランスでなかなか来ないエレベーターを待っていると、陽人が言った。

「なぁ、今朝言ってたメールのことなんだけど」

「なに?」

「チョコが心配してたぞ、深月が変なヤツに目をつけられたんじゃないかって」

「もーう、チョコも陽人も心配性なんだから!」

「ヤバそうだったら、早めに言えよ」

「うん。陽人、ありがとう」

エレベーターの扉が開き、私たちは箱に乗り込む。

「あれから、メールは来てないのか?」

「うん、あれっきりだよ」

実は1日中、またメールが届いてるんじゃないかと気になって何度もチェックしていたんだけど、“オレ”からのメールはあれっきり。一度も来ていなかった。

「ちょっと期待してたんだけどね〜」

「ばーか!そんなキモい男に期待するな!」

「……冗談だよ」

エレベーターは他階に止まることなく私たちの住む5階に着いた。

「じゃあ、またあとでね」

そういう私に、陽人は
「おう」
と軽く手を振って、自分の家へ帰っていった。
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