君に捧ぐ嘘
私の腕には管が針のように絡み付いてる。少し、腕が痛むのはそのせいだろう。窓がある。微かな消毒液の匂いが鼻につく。この部屋は病室なのかもしれない。


私は今まで何をしていたのだろう?瞳を閉じても、何も覚えていない。


「アスナ!?意識がもどったんだね!」


「あなた誰?」


彼は絶句した。


「嘘だろ?なんで俺のこと覚えてないんだよ!?」


彼は私にぐっと顔を近付けてきた。端正な顔立ちは、逆に私を不快にさせた。


「やめてよ!」


手を振り払い、壁に彼を突き飛ばす。


急に吐気をもよおし、私は吐いた。胃からこみあげる不快感。彼は慌てて手を差し出した。その手に何度も何度も吐いた。胃液しか出ない。胃液には血が混じっていた。


「大丈夫!?今、先生を連れてくるからね!」


「その前に手を洗いなさいよ・・・汚いわよ、それ・・・悪かったわね」


彼は首を左右に振り、汚くなんかないよと微笑んだ。


「だってアスナのものだもの」


澄んだ瞳の向こうには一切の迷いが感じとれなかった。


それから彼は医者を連れてきた。若い医者は君は一週間前に事故にあい、意識がなかったと告げた。
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