私とお祖母様はそれから私の住まいとしている第二邸を出て、
お祖母様の専属運転手の室畑【むろはた】さんに送っていただいた。


出る直前、


『わかったか?更紗。
前にも言ったけど前を向いて、胸を張って、堂々としているんだ』

『はい、わかってます』

『…相手は相澤グループの御曹司…。
いくら同じくらいの格式のある家柄同士だとしても、失礼のないようにするんだぞ?』

『わかってますっ!』



散々、兄様にお見合いの極意らしきものを言われた。


…何だか、緊張してきた。

大口叩いたけど、
今さら実感湧いてきちゃってる。

…緊張してガチガチの体と引きつってるこの顔に、
不釣り合いなこの可愛らしい着物。


…どうしよう。

模試なんかよりも、
高校の面接なんかよりも、断然緊張しちゃうよ。


私が俯いていると、


「先程拓哉に言われた言葉をもう忘れたのですか」

「…え?」



お祖母様が隣からそう言った。


…兄様の言った言葉…?


―――『前を向いて、胸を張って、堂々としていろ』



「…前を向いて、胸を張って、堂々と…」

「そうです。
…あなたは仮にも、白蕗家の令嬢なのです」



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