彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜

不安




「う…なんかいびつ…」



私は何日か掛けて作った小さな小さな巾着袋の紐をきつく結びながら呟く



この中にはこの間、斗真くんが私にジュースを買うようにとくれた百円玉が入っていて



袋の表には斗真くんの『T』の字を悪戦苦闘しながら刺繍した



我ながら乙女チックモード全開である



私は袋を手と手の間に挟みながら拝む



どうか

どうか

斗真くんにもっと近づけますように!


『彼女になれますように』
とは願わなかった


だってそれは約束違反になるし…


「お前は…今度は何だ?何の宗教だ?」


そんな声がしてもお構い無しで拝み続ける


どうせ声の主なら見なくてもわかるから





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