社長の旦那と恋知らずの妻(わたし)
「そんな言い方しなくても…」
「何か言ったか?」
咄嗟にいいえと頭を横に振る私を横目に、拓斗さんはそのまま玄関を出ていってしまった。
「ひどいよ…。お互い面倒だなんて」
ショックな気持ちとムカつく気持ちがごちゃごちゃと混ざりあい、いてもたってもいられなくなった私は…
「おっりゃあ」
部屋に戻りベッドにダイブ。
あんな事言わなくてもいいのに!
折角いってらっしゃいの為に起きたのに、それに対してお互い面倒だけだろなんて…
「拓斗さんのばかぁぁああ」
私が拓斗さんの妻なってから初めて迎える朝は早起きしてご飯作ろうと思ったけど、私が起きた頃はもう拓斗さんがスーツ姿で出掛ける寸前。