崩壊家族
戸惑っている私に、服部くんはあの頃のまま優しく微笑んだ。

「みんなが旦那のグチだ、姑のグチだ、子供のグチだって言って騒いでる時、さゆりはすごく悲しそうな顔をしていた。

何でそんな話をしているんだ、って言いたそうな顔だった。

その様子から、家族とうまく行ってないんだってことがよくわかった」

「服部くん…」

気づいてたんだ、私のこと。

「俺、今でも思うんだ。

あの時つきあっていることを堂々と宣言してたら、さゆりは不幸にならなくて済んだのかなって…すごく悔やんでる。

大好きだった子とつきあうことになったのに、でも恥ずかしくて、結局消滅。

俺がさゆりとつきあって結婚してたら、さゆりを不幸にしない。

むしろ、幸せにする」

服部くんが言った。
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