君を忘れない。



これ以外、分からなかった。



こうする他、知らなかった。



死ぬことしか、選べなかった。



死ねば大切な人が、守れると思った。



君を守るには、まだまだ子供で、非力で。



「…会いてぇ。」



そうポツリと呟いた後、松田は寝息を立てて眠ってしまった。



…会いたい。



透き通った声が好きだった。



芯の強い瞳が好きだった。



華奢な身体が好きだった。



ボロボロに泣く涙も、眩しいくらいの笑顔も、桜色に染まる白い肌も。



全てが生きる希望だった。



君ともっと、生きていたい。



出撃前夜、未練を断ち切る。










【完結】




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